(カナダ編 2) 運命の出会い


先月お知らせしたアメリカ西部撮影旅行の写真展は「荒野の七人展」と題してスタートしました。案内葉書を受け取った知人から「コワーイ写真展ですね」と言われましたがそんなことはありません。「やさしい七人の侍」展ですのでぜひ見に来て下さい。

10月下旬に北山通りで行われた「ハロウィンフォトコンテスト」へ沢山の応募をいただきました。私と主催者とで厳正に審査をして次のような結果となりました。この写真展へもぜひ足を運んでください。

さらにもうひとつ、プリンスホテルフォトセミナーの参加者による第一回作品展が開催されます。皆さんメキメキと上達され見ごたえのある写真展になりそうです。詳細は「Whats new」をご覧下さい。

他にも12月は色々なところでクリスマスパーティが行われますが、一年間お世話になった会へ私の作品を寄贈することにしています。まさに「サンタ」さんになったような心境です。

このようなわけでここしばらくは「本業」の方がストップしています。これではいけない、どうしよう? そうだ、まもなく正月休みですからその間に思いっきり仕事をしましょう…。

(カナダ編 2) 運命の出会い

ドタバタで乗り込んだ飛行機も離陸してしまえば次第に気持ちも落ち着いてきました。次から次へと出される機内サービスで満腹になり、また一日の疲れもあってぐっすり寝込んでしまいました。

窓からの明かりで目を覚ますと眼下に雪山の素晴らしい光景が広がります。アラスカをかすめながらバンクーバーまであと2時間。朝食を取ったあと、いよいよ着陸態勢に入ると広い芝生に囲まれた多くの家々が見えます。「みんなこんな豪邸に住んでいるのかぁ〜。」 足を踏み入れるまでに生活水準の差を見せ付けられました。

さあ、バンクーバーの空港に着陸。入国審査に行こうとしたとき周りの日本人たちが私からスーと離れていきます。「?」 どうしたのだろうと目をやるとそこには添乗員がいて皆さんニコニコした表情で旗の後ろをついていくのです。そうか、皆団体だったのだ…突然猛烈な孤独感に襲われ、思わず「Tokyo(東京行き)」と書いてある折り返し便に飛び乗ろうかと思いました。

しかしそこはグッと我慢して辞書片手にレンタカーを借り、駐車場で少し練習をしてから街中へ恐る恐る走り出しました。左ハンドルはもちろん初めてでしたが右側通行になかなかなじめず、交差点を曲がるたびに反対車線(左側)に入ってしまう。ひどいときには対向車が来るまで気付かずに走っていたほどです。

何とかバンクーバーでウォーミングアップを兼ねた5日間を無事終えて次の目的地カルガリーへ向けて再び搭乗。今度は国内線。機内を見渡すと日本人は私一人だけ。こうなったらクソ度胸が出て、これからもなんとかなるだろうと妙な自信が湧いてくるから旅はオモシロイ。

「あれ?」 カルガリー空港からロッキーの町バンフまでのバスの時間を見るとまだ1時間あったので待合所で腰掛けて外を見ていると「バンフ行き」と書いたバスが出て行くではありませんか。あわてて係員に聞くと定刻通り出発したとのこと。そんなハズは…と考えてハッとしました。ここはアルバータ州。バンクーバーとは州が違うのです。つまり時差があり1時間時計の針を早めなければならなかったのです。「クソー!」 湧きかけていた自信がもろくも崩れ去りました。

カナディアンロッキーの偉容は素晴らしいものでした。天候もまずまずで無我夢中でシャッターを押し続けているうちに言葉も体もかなりなじんできたようです。再びカルガリーへ戻って来た時は日本を離れてちょうど2週間目。日本が懐かしく思い出されます。もうこれで帰るか、それとも予定通り北米大陸を横断するか…。翌朝、街を代表する公園であるヘリティッジパークを訪ねた時にこの結論が出ました。

公園をひと回りしてからベンチで休んでいるとメガネをかけた青年が近づき「日本の方ですか?」と私に話し掛けてきました。聞けば彼は日本に生まれた中国人で得意の英語力を生かしてカナダに永住する決意でやって来たばかり。私の予定を聞いた彼は、旅行費用を出してくれれば無償でガイドをするからぜひ同行したいと申し出たのです。

こちらも心強い道連れができれば予定通りの取材を敢行できるわけですから少々の出費は仕方ありません。お互いにメリットのある話はトントン拍子に進み、ではよろしく、とガッチリ握手。先ほどまで二人とも予想もしていなかった二人旅が突然始まることになりました。

Mr.Wang(王さん)との出会いは以後20年以上に渡り、私と北米大陸を結びつける「運命の出会い」だったのです。

(続く)