「日本人がいない!

京都の観光地から日本人がいなくなりました。

まず次の写真を見て下さい。祇園花見小路を散策する観光客ですがよく見ると日本人が一人もいません。

 


そして次の写真は八坂から清水への道で記念撮影する着物の女性たち。本人たちを含め周りは外国人ばかりです。塔をバックに記念写真を撮るため道路が渋滞しています。

 

はてさて日本を代表する観光地に日本人がいないのはどうしたことでしょう。
原因はいま世界中で問題になっているオーバーツーリズム(観光公害)なのです。

オーバーツーリズムとは、観光地にキャパシティ以上の観光客が押し寄せること。街中の人混みや交通渋滞、騒音やゴミの問題、環境破壊などが生じ、さらにそれを原因とした地域住民と観光客とのトラブルが多発しています。

次の写真は「京都百景Vol.52」で発表したコロナ直前の清水坂です。

          

先日同じ場所を通りましたがほぼ同じ混雑となっていました。
この道の少し先で車道と交差するのですが、譲れ、譲らない、の罵声が響き渡ります。

こうして日本人観光客の京都の印象が悪化して来ているのです。
「せっかく観光地を訪れたのに混雑していて楽しめなかった」「観光地がゴミだらけで不快だった」などという悪い印象だけが残ります。

さらに日本は円安で諸外国に比べると物価が安いので訪日客がどっと増えており、このままでは観光立国ではなく「観光亡国」となってしまいます。

それを防ぐためにどうすればいいのでしょうか?

海外でよくおこなわれている対策が、行政による観光客の制限です。
たとえば、フィリピンのボラカイ島では一時的に島自体を閉鎖。

スペイン・バルセロナでは有名観光地の入場チケットを事前予約制にして、観光客の人数を制限しています。
イタリアのベネチアでは、2024年からは、街の混雑に影響を与えるだけで観光消費に繋がらない大型のクルーズ船の寄港を禁止しました。

それでは京都市では・・。

一番問題になっている市バスの混雑を防ぐために旅行中の荷物を観光客自身で持ち歩かず、宅配を使って宿泊施設や空港へ運ぶ「手ぶら観光」を推進していますが次の写真を見て下さい。


これがバス車内に貼ってあるのですがパッと見て何のことかわかりますか?
どうする手荷物・・なんて書かずに「大型スーツケース」と書くべきですよね。コピーは短く、わかりやすくするべきです。

次にこれの英語版です。

 

英語版なのに「どうする手荷物」という日本語がなぜ必要なのでしょう。これも分かりづらいですよね。

次に打ち出した対策が特に混む観光地への市バスの増便です。
これは火に油を注ぐようなもので「制限」ではなくて「もっと来て!」という「歓迎の増幅」ではないでしょうか。

私の自宅から街中へ行くバスは上賀茂神社から下鴨神社を経由するので土日には満員通過か、乗ることができても立っているのが苦痛なほど混んでいます。
市民が市バスに乗れないなんて・・。

京都市では、1日乗車券を「バスのみ」から「地下鉄全線」を対象にすることで、移動手段を分散させようとしましたがその効果はまだ出ていません。

京都の問題は市バスだけではありません。

祇園では芸舞妓を無断で写真撮影、車道まで広がっての歩行、私有地への無断立入りなどが問題になっています。
また「京の台所」と呼ばれる錦市場では店の前で立ち食いする客が多くなり、目当ての店にたどり着けず買い物をあきらめて帰る人が続出している始末。

京都のオーバーツーリズム、もう限界やで。
今回選出された新しい市長さん、何とかしておくれやす!