<前編 美術館めぐり>

発売されたばかりの OLYMPUS PEN E-P1を持ってパリにやってきた。朝にホテルの部屋でパンケーキタイプの17ミリレンズが付いたPENをながめる。かわいい、おしゃれなカメラである。きっとおしゃれなこのパリに似合うことだろう。同じシルバーの14〜42ミリレンズも持って早速撮影に出かける。

美術館めぐりはやはりルーヴルから始めることにした。最寄りのメトロ駅から入り口へ向かうと一番に出会うのがこの逆さピラミッド。ズームレンズをワイドの14ミリにするとピッタリ収まった。


やはり地上へ出なければやって来たという感動がわいてこない。古風な宮殿とガラスのピラミッドの組み合わせ。当初は物議をかもし出したが現在はすばらしい出入り口として評価されている。グレーの雲と一羽の鳥が空を演出してくれた。

有名なミロのビーナス像。夏休みとあって館内は相当な人出である。暗い部屋でも「ぶれ防止」と「ISOオート」に設定しておけばほとんど手持ちで撮影できるのでありがたい。


ふと窓から外を見ると青空の中にフランスの国旗が翻っている。アートフィルターの「ポップアート」で写すと青空の色が強調される。

サモトラケのニケ像。最も美しいシルエットを見せ る位置を探して、今度はアートフィルターの「ラフモノクローム」で撮影。カタチを力強く見せることができた。

名画をデジカメで撮影する女性。パリの美術館はフラッシュを使わなければ撮影は自由。絵具に悪影響を与えるのでライトやフラッシュによる撮影は禁止されているがそれ以外はOKである。日本ではほとんど撮影そのものが禁止だがいったいなぜなのでしょう?


ルーヴルで一番人気の「モナリザ」は額にガラスがはめられており、近づけないようにロープが張られている。カメラに収めようと後方からは頭上にデジカメのモニターが並ぶ。

これがモナリザの会場の様子。多くの人がカメラを構えているがよく見るとケータイで写している人は二人だけ。これも意外である。横にずらっと並んだ人々を強調するためにアスペクト比を16:9(横長)にして撮影。


ルーヴルはとにかく広い。疲れて一服する場所を探していたら先に美女がお休みだった。PENにはミラーがないのでシャッター音が静かである。おかげで彼女の安眠を妨げずにすんだ。

印象派の絵画が見たくなり、展示室を探して行ったら「全部トウキョウへ行っているよ」とのこと。はるばる日本から来たのだ、と言うと係員が気の毒そうな顔をしてくれた。でもセーヌ川対岸のオルセー美術館には印象派の作品が揃っているのでそちらへ向かうことにする。川岸には名物の古書店が並び、若い二人が眺めている。「ポップアート」に設定して色を強調してみた。

通りの角にあるカフェでお茶をする人たち。ライブビューをのぞきながらカメラを構えるのはファインダーをのぞくカメラよりは相手に意識される度合いが少ないようである。

オルセー美術館に入る。ミレーの「晩鐘」に見入る人々。世界的な名作が目の前にあり、近づいてゆっくりと鑑賞できる。美術好きな人はパリまで来る値打ちがある。

ロートレックの大作の前で記念写真を撮る女の子。かわいい子だが手や足の組み方などを見るともう大人である。

オルセー美術館の屋上に上がるとまたまた厚い雲に覆われてきたが何ともドラマチックである。パリでは雲までがアーティストなのか。

2階からセーヌに向かって立つ彫像。ズームレンズを望遠の42ミリにして絞りを開放にすると背景をこのようにぼかすことができる。この美しいボケを見るとPENの表現力はコンパクトデジカメのものではなく一眼のそれだということがわかる。

翌朝は郊外のヴェルサイユ宮殿へ。絢爛豪華な鏡の回廊はルーヴル並みの混雑である。若いカップルが一生懸命カメラを構えていた。

戦争をテーマにした絵画と写真とを同時展示した特別展「WAR」が開催中だった。壁面を埋める大きさの絵画に比べて写真は小さいが鑑賞者の多くは写真に釘付けである。これは広島と長崎の原爆投下の写真であるが、ほかにもヴェトナム戦争で忘れられない捕虜の公開射殺などの写真が展示され、写真の訴求力の強さを思い知らされた。

入り口にあるルイ14世の騎馬像。後方から横長の構図で切り取ると余分なものが切り取られて威風堂々と行進する姿が表現できた。

宮殿から駅に向かう途中にクレープ屋さんがあったので立ち寄る。大好きなバナナクレープはなかったがチョコレート味もおいしかった。焼くところをしっかり撮影させてもらいRER線の列車でパリに戻る。

(後編に続く)