第8回 遥かなる大西部


プロとアマの同時取材(その2)

ご覧ください、Tさんが撮影したこの日の出の写真を…。
美しい日の出でしたよ、とTさんから聞いた時はもう後の祭り。しまった!なんてことをしたのだろう。いつも生徒さんに、飛行機に乗る時には窓側の席に座ってすぐカメラを取り出せるようにしておくのですよ、なんて言っているくせに…ナサケナイ。
1枚目から差を付けられたプロのKさんは「よーし、着陸したら名誉ばん回だ!」と着陸後に希望を託します。

「さあ次はレンタカーだ。」
L・A(ロサンゼルス)の空港に到着した私たちは巡回してくるレンタカー会社のバスに飛び乗り、空港に隣接する大駐車場へ向かいます。海外へ出始めた頃はこの方法が分からなくて苦労したものでした。でも今は何事もなくスイスイと順調に事が進みます。やはりケイケンが一番!すっかり自信を取り戻したKさんは再び「オレについてこい!」

手続きを済ませてカウンターでキーを受け取った時、スペアキーがないと不安だなぁーと思いましたがその場ではどうすることも出来ず、ホテルへ向けて走り出しました。助手席でTさんが地図を片手にナビゲーターをしてくれます。二人だとこういう時に楽でいいなぁと久しぶりの街並みに目をやりながら、鼻歌まじりにドライブを楽しみました。

ホテルの部屋で荷物の整理などした後、カメラを持って街へ出てみました。ホテルがハリウッド大通りにあるのですぐそばに有名なチャイニーズシアターがあります。入り口まで一緒に行き、自由に撮影して2時間後に会おうということになりました。その時にTさんが撮影したのが次の2点です。

Tさん撮影

2点ともチャイニーズシアターというよりもハリウッド大通りで白人女性をスナップしたものです。左の写真はソフトフィルターを使って二人の女性の会話をやさしく表現していますし、右の写真は都会の女性のワンショットをクールに切り取っています。初めて人物写真に挑戦したTさんとしては上出来なのですが、2枚とも女性がカメラに気付いていますし、L・Aらしきものは何も写っていません。次の2点はKさんが撮影したものです。


Kさん撮影


左の写真はハリウッド大通りの名物「ウォーク・オブ・フェイム」でスターの名前入り星型ブロンズが歩道にはめ込まれているものをスナップしたもの。

右の写真はチャイニーズシアターで有名スターの手形にオシャレな女性が自分の手をあてがっているところ。この2枚ともL・Aを紹介する時にどうしても必要な写真です。

つまりプロのKさんは旅行パンフレットなどの仕事もしているのでまずこうした「観光写真」を撮ることが習性となっています。ところがアマのTさんは趣味なのですからそんなことにはおかまいなし。気に入ったものを気のおもむくままに撮れば良いわけで、何もバックにL・Aが写っていなくてもよいわけです。
1日目から違いがこんなにハッキリと出てきました。

さて2日目。
この日は私がアメリカで取得したあるライセンスの更新のためTさんも一緒に郊外のGardenGroveへ出かけました。そこには友人のWさんがいて役所への手続きをサポートしてくれることになっています。
「やぁ久しぶり!」 いつもと変わらない陽気なWさんの顔を見てひと安心。一服した後で早速役所へ行き、アメリカ市民に混じって多くの書類に記入したり列に並んだりして夕方、無事に交付を受けることが出来ました。それから3人でレストランへ行き、ビールで乾杯。Tさんに「一日付きあわせて悪かったなぁ。」と言うと意外な返事が返ってきました。観光地よりよっぽど楽しかったと言うのです。理由を聞くと日本人はひとりもいないし、アメリカ人の日常生活を見ることが出来て、これで「アメリカに来た」という実感が湧いたとのこと。

なるほどそんなものかぁと生き生きと目を輝かせるTさんを眺めながら、複雑な心境になりました。というのも、明日からTさんに喜んでもらえるように有名観光地を訪ねる予定でぎっしりだったからです。

つづく