第49回  レンズ越しの風景

冬の華


  今冬は暖冬の予報だったが年末から急に冷え込み、各地で大雪となった。京都市内でも年末に三回も降り、夕方まで降り続いた日もあった。全国の十二月の気温は戦後最低だったとのことである。


雪下ろしを余儀なくされる雪国の人には申し訳ないが、写真愛好家にとって雪は冬枯れの風景を美しく化粧してくれる「冬の華」なのだ。


上の写真は平安神宮(京都市左京区)の応天門である。雪だけでは単調になりやすいので門の朱色をアクセントに入れ、大型のストロボを発光させて近くの雪を大きく写して動感を出した。


雪の日には三脚を使う必要はない。雪は反射率が高くて明るいので早いシャッターを切ることができ、カメラぶれが少ないからだ。雪の中で三脚を立てる場所を探しているより、手持ち撮影で自由なアングルで写す方が新しい発見につながるだろう。


また、雪の撮影は前夜から始まっている、といえる。冷え込みの強い夜には翌朝すぐに行動できるように万全の準備をしておこう。気温が下がるとバッテリーの消耗が激しいので電池の予備が必要である。また、降り続けた時のためにフィルム、メディア(デジカメの場合)も多いめに用意する。他にも降雪中の撮影を考えて大きめの傘やカメラ操作がしやすいように指先をカットした手袋、カイロ、タオルなどがあれば便利だ。


そして撮影予定地を決めておくこと。雪が解けるまでの貴重な時間に「どこへ行こうか?」と迷っているようではダメだ。雪の量が少ない時や遠くに行く余裕のない時には身近にある被写体を探そう。有名な場所である必要はなく 「最良の状態で撮影した雪」 が大切なのだ。


明日の朝は雪かもしれませんよ。あなたの準備はどこまでできていますか?

                  (京都新聞 1月11日掲載)