第16 回 Pモードのすすめ


今回は一眼レフの撮影モードについてお話します(コンパクトカメラには一部の高級機を除いて Pモード(プログラムオート)のみが組み込まれています)。

受講生の方から AV(絞り優先)モードで写すべきでしょうか?と質問される事がよくあります。それは普通の写真では「絞り」が重要な役割を果たしていると考えられており、たとえば花のバックの草木にどこまでピントがきているかというのは「絞り」をいくらに設定するか、で決まる訳ですからこの質問は当然かもしれません。

ところが私は最も簡単な P(プログラムオート)モードを多用するので上記の質問などには「 Pモードが一番!」とお答えします。理由は次の通りです。

Pモードは絞りとシャッターの適切な組み合わせをコンピューターが選んでくれるもので、明るくても暗くても一応は写るようになっているため失敗が最も少なくてすみます。コンパクトカメラがこのモードを採用している理由はここにあります。もしあなたの一眼レフのシャッターダイヤルに「P」マークがなければ「A」に合わせ、レンズ側の絞りリングを「A」あるいは色が付けてある「22」などに合わせると Pモードになります。

このPモードがどのように作動するかといいますと、たとえば 28〜200ミリのズームレンズを使った野外の場合、28ミリの広角側で構図をとりますと広角側ではあまりカメラブレの心配が無いのでシャッターは125分の1秒ほどであとは絞りを可能な限り絞ってくれます(たとえばF16に)。ところが200ミリの構図に変えますと今度はカメラブレを防ぐために絞りを開放にして(たとえばF5,6に)少しでも早いシャッターを切ろうとします。つまり絞りがF16からF5.6に3段階明るくなり、代りにシャッターを125分の1秒から1000分の1秒へ3段階暗くして適正な組み合わせにしてくれるのです。

もともと広角側の魅力は絞り込んでほとんどにピントが合っているシャープさ(パンフォーカス)にあり、望遠側の魅力は絞らずにバックをボカして主題を引き立てるところにあるのですからその意味でも Pモードがベストでしょう。そしてもう一つ Pモードの魅力があります。

それは AVモードや TVモードでは設定した範囲内でしかオートが作動しないため(一部の最高機種を除く)、たとえば F5,6に設定するとその絞りは変えられないのでシャッターだけが移動して適正な組み合わせを探そうとしますが範囲が狭いため限界があります。ですから明るい空にレンズを向けると「撮影不能」の警告が出たり、露出オーバーの真っ白い空になったりします。

ところが Pモードだと絞りとシャッターの組み合わせが自由ですので明るい空から夜景までほとんどをカバーしてくれます。ファインダーの隅に表示されるシャッターに注意してカメラブレに気を付ける事と露出補正(第5回一眼レフ応用編参照)さえすればほとんど写せます。

本年3月の個展「京艶(弐)」では祭事の一瞬を追ったのでほとんど Pモードで撮影しました。失敗が少ない撮影モードは初心者用だけではなくプロ用(?)でもあるのです。日常は Pモードで、絞りやシャッターを優先させたい時だけ AVモードや TVモードにすれば良いと思います。

私に Pモードを勧められた受講者の方々が「なんだ、こんなカンタンに写るのか…。」と驚いておられます。技術は少しでもカンタンな方がいい。その分、人とは一味違うモチーフを、そしてアングルを発見する事に努めて下さい。

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