随想 第112回 京都に日本があってよかった

先日立命館大学で開催された講演をご紹介します。

まずこのテーマが「日本」と「京都」が逆になっているのが気になってオンラインで参加しました。従来の「日本に京都があってよかった」は京都が奢(おご)っているとの批判がありましたので今回は避けたのでしょうか?

それでは京都大学特任教授の佐伯 啓思氏の基調講演から・・

氏の講演テーマは「京都に日本があるのだろうか」となっていたのでこれが今回のテーマの真意だったようです

く比較される東京と京都ですが東京は「文明」で京都は「文化」だと思います。東京は明治時代以降に成長・発展し、ひたすら効率を図ってきましたが行き詰りました。そこで京都の「文化」が見直され「無駄や余裕を楽しむ」方向へ転換します。

たとえばイヤな客を追い返す策として「ぶぶづけでもどうどす?」と言われた客はあわてて帰ろうとしますが、ではご馳走になろうかなと開き直る「遊び心」などを楽しく語られました。

このあと舞踊やパネルトークがあり、最後に登壇した山本壮太氏から次のような閉会挨拶がありました。(氏は私の「京艶」刊行パーティーで祝辞をいただいた方ですが、古典の日推進委員として京都の活性化に取り組んでおられます)

京都は古都ではなく近代都市である。

京都の観光資源は「歴史、文化」。遺産の観光だけでなく明治以降でも平安神宮や琵琶湖疎水など新しい文化を作っています。

NPO法人 明日の京都」では羅城門の模型を京都駅前に作りましたが、いつの日か本物を作りたいと願っています。

観光はこれからも重要な民間外交なのです!

3時間にわたる講演の一部しか紹介していませんが京都のこれからを考えるよい刺激を与えてくれました。

さて、葵祭(路頭の儀)は今年も中止となりましたが、都をどりなど花街の春は2年ぶりに開演されます。

コロナ終息後はコロナ以前に戻るだけではダメで新しい視点から本当に必要なものを選択して取り組む必要がありそうです。それが何なのか、いよいよ真剣に考える時期が来たようです。

NPO法人 明日の京都」のHPはこちら。http://tomorrows-kyoto.jp/