随想 第108回 消えた日本色

始まるまではなんだかんだと叫ばれたオリンピックでしたが、いざ始まると日本選手の応援でテレビを見る時間が増えましたね。

結果、日本は大活躍でメダル数は過去最高、世界ランクでも第3位になりました。ところが新聞などではそのことをあまり報じません。理由は近隣諸国を刺激するからだというのです。何という気遣いでしょう。選手村の食事は福島産だから食べないとか部屋の窓から反日の垂れ幕を掲出する国に対してですよ。

もっとがっかりしたのは開会式です。これは日本人がプロデュースしたはずなのですがほとんど「日本色」が消えていました。MISIAの国歌斉唱は高評価でしたがなぜ和装で歌わなかったのでしょう。また、最後の聖火ランナーに抜擢された人物を聞いて耳を疑いました。いまだに日本語を話そうとしない彼女よりももっと日本を代表する候補者がいたはずです。

そして、その後がいけません。世界中から注目される五輪の開会式で打ち上げられた花火が欧州産で国産ではなかったというのです。
そういえば他国の開会式花火とそっくりで、わが国の伝統花火とは全く違っていました。花火業界が抗議したそうですが当然でしょう。

次に心配したのが閉会式。国歌斉唱は宝塚ジェンヌが羽織袴で勢揃い。やっと「日本」を感じることができました。そして最高に盛り上がったのが東京音頭。退屈して座り込んでいた選手たちが立ち上がって踊り出したのです。これが日本なのです、この曲と踊りが日本なのですよ!オリンピックが日本で開催されたということがテレビを見ている私達や会場の選手たちにこれでやっと伝わったのです。

残念だったのはここまで盛り上がったのに選手たちを踊りの輪に招き入れなかったこと。世界中の選手たちが一緒に踊れば最高の閉会式になったことでしょう。

他にも言いたいことが一杯あります。表彰式でアシストする人の衣装を見て驚きました。居酒屋でバイトの人たちが着るシャツではありませんか。これなら祭の法被(はっぴ)や浴衣(ゆかた)の方が日本的で受賞者は喜んだはずです。

それを実行してくれたのが、女子レスリングで五輪4連覇を達成した伊調馨氏で、7日の表彰式にプレゼンターとして登場。鮮やかな水色の着物姿で、メダリスト11人に記念ブーケを渡す姿は素晴らしいものでした。

企画した大手広告代理店のD社などがこの大会で「日本色」を出さなかったのはなぜなのでしょう?同じ物作りをする者として理解に苦しみます。

でもそのおかげでますます日本の文化を大切にしなければいけないと決意できたのかもしれませんが・・。