OM-Dで写す京都風景

初めてテスト機を手に持ったとき、まず小さくて軽いのに驚いた。シャッターを切った音も小さく、各ダイヤルの操作も軽くてスムーズ。
ファインダーを覗くと実に明るい。Penの外付けファインダーVF-2と見え方は同じだと聞いていたが見えやすさが違う。くっきりスッキリ、とにかくきれいに見える。さらにファインダーに目を近づけるとアイセンサーが働き、背面のモニターからEVFに切り替わるのも便利だ。
Pen
E-P1からE-P3まで愛用してきたがまた良いカメラを作ったな、と嬉しくなった。早速OM-Dを持って撮影に出かけた。

最初の撮影地に選んだのは東山の智積院(ちしゃくいん)。観光寺院ではないのでいつも静かでゆっくり撮影できるのがいい。特に今回は発売前のテストなのでカメラを人に見られたくなかったからである。




OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 75mm 1/180 F5.4 ISO:500
講堂の五色幕にカメラを向けると若い女性が横切ったので思わずシャッターを切る。世界最速のAFだけにチャンスを逃がさない。見れば左脇に一眼レフを下げている。流行の「カメラ女子」との遭遇で嬉しくなった。




OM-D M.ZUIKO DIGITALED 14-150mm F4-5.6 75mm 1/180 F5.4 ISO:500
五色幕とお堂内の灯りとの共演。AWB(オートホワイトバランス)の「灯り色を残す」に設定して撮影。 

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/90 F1.8 ISO:320
講堂内の灯りをクローズアップ。明るいレンズなのでISO感度もそれほど上がらない。ボケ味も良好だ。


 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/90 F4 ISO:250
外を見ると雨が降ってきた。大屋根を見上げると瓦が雨に濡れて美しい。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 12mm 1/60 F4.5 ISO:400
枯山水の庭にレンズを向ける。初めて使うレンズだが一番ワイドで使用してもタル型の歪曲が少ない。建築を写す機会が多い京都では重宝できるレンズだ。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F4-5.6 U R 15mm 1/60 F3.6 ISO:320
急に風が出てきた。揺らぐ五色幕を撮る。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 1/90 F2.8 ISO:1000

次は12ミリで撮る。ワイド効果は抜群である。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 1/60 F2 ISO:200

講堂の広間を立ったままの位置から写す。やはり12ミリは広く写る。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 1/60 F2 ISO:250

カメラを畳に置いてみた。可動式モニターを見ながら思い切ったローアングルで撮影することができる。単体レンズだけにボケ味が見事。

  

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/90 F1.8 ISO:200

夕闇迫る金堂で擬宝珠(ぎぼし)と堂内の灯りを撮る。このレンズならもっと暗くなっても手持ちで撮れる。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/15 F1.8 ISO:1600

堂内の灯りだけで撮影。ISO 1600だがノイズがほとんどない。もちろん手持ち撮影。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 67mm 1/125 F5.4 ISO:320

次の日は下鴨神社へ出かけた。破魔矢の背景に楼門の朱赤を入れると厳かな雰囲気が出る。もっとアップしようとする時にこの高倍率ズームは便利だ。

 
 
OM-D ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro 1/750 F2 ISO:200

紅梅の蕾が大きくなっている。愛用のZDマクロレンズをアダプターを介して使用する。今回発売されるアダプターは防塵防滴仕様となる。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 100mm 1/250 F5.6 ISO:500

高倍率ズームでもこれほど綺麗にボケる。歪曲も少ない評判のレンズだ。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 45mm 1/60 F6 ISO:1600
回廊の御簾(みす)。テスト機では使用できなかったがOM-Dには縦位置グリップを付けることができるので縦位置撮影が楽になるだろう。

 

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/180 F8 ISO:200
 次は八坂の塔でアートフィルターを試してみる。これはノーマル撮影。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/125 F8 ISO:200

アートフィルターの「ポップアート」で撮影。曇り空の中に彩りが映える。

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/180 F8 ISO:200

次は「ラフモノクロームT」で極端な白と黒の世界にしてみた。色を失った分力強い描写となる。

 

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/250 F9.5 ISO:200 

新しく加わった「クロスプロセスU」。従来のシアン系と異なり、マゼンタ系なので夕景をより強調する効果がある。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/250 F9.5 ISO:200

これも新しい「ドラマチックトーンU」でモノクローム撮影。カラーほどクセがなく、自然で力強い描写となる。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 33mm 1/180 F9.5 ISO:200

これも新しく加わった「リーニュ・クレール」。エッジラインを強調するのでイラストのようになる。

 

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 42mm 1/180 F6.7 ISO:200

これは多重露光(2回)によるもので塔が二つあるわけではない。オリンパスの多重露光は優れもので、先に露光した残像が見えるので2回目の構図が楽に決められる。


OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 39mm 1/90 F5.6 ISO:200
最後は壮絶な夕焼けとなった。「クロスプロセスU」を使用。

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 23mm 1/90 F5 ISO:200

次の日は北野天満宮の初天神へ。賑わう参道を可動式モニターで両手を一杯伸ばして頭上から撮影。奥行きをより強調できた。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 50mm 1/125 F6.3 ISO:200

早咲きの梅を新しいズームレンズの最短撮影距離から撮影。結構近くまで寄ることができる。


 

OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 44mm 1/125 F6.7 ISO:200

このズームの特徴であるマクロ機構を使えばここまで大きく写せる。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 34mm 1/60 F5.6 ISO:1000

奉納の舞が始まると突然雪が降り出した。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 12mm 1/60 F3.5 ISO:250

次にこのズームレンズがいかに歪曲が少ないかを見ていただこう。最も広角側でも歪曲はほんのわずかである。

 
 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 20mm 1/60 F4.6 ISO:640

中間の焦点距離で歪曲するズームがあるがご覧の通り、歪曲はまったく見られない。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ 50mm 1/90 F6.3 ISO:1600
最も望遠側であるがやはり歪曲はゼロ。優秀なズームレンズである。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 100mm 1/180 F5.6 ISO:1600
 この社で最も好きな灯りを高倍率ズームで撮影。OM-Dから手ぶれ補正が一段と強化されたが特筆すべきは望遠使用時のファインダー像がぶれずにピタッと止まることだ。ほとんどを手持ちで撮影する私にとってこれはありがたい。


 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 67mm 1/180 F5.4 ISO:640

境内にある老舗の暖簾(のれん)。京都の歴史と意匠の美しさを感じる。

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/250 F1.8 ISO:200
 帰途、日本最古の花街「上七軒」に立ち寄る。提灯と赤い房(ふさ)を黒い背景の中に捉える。

 
OM-D M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 1/750 F1.8 ISO:200
お茶屋の暖簾と提灯。ボケ味を強調するため絞り開放で撮ってもこのレンズはシャープで切れ味が良い。

以上、ひと足早くOM-Dを試用させていただいたが、シャッター音の静けさや小さなボディの威圧感のなさ、そして歪曲の少ない優秀なズームレンズと明るい単体レンズの充実など「京都を写す」最適なカメラだといえる。
オリンパスが切り開いたミラーレス一眼はこのOM-Dで「プロが使うミラーレス一眼」となり得るであろう。