第73回  こだわり歳時記

  大 寒


あと五日で大寒である。一年で最も寒い時期であるが、今年は暖かい日が続いていたのでまだそのような感じがしない。しかし油断は禁物、この時期は必ず寒くなる。

上の写真は市内北区にある上賀茂神社で撮影した。楼門前の橋に懸かる御幣である。ふだんは赤い橋に真っ白な御幣が好対照を見せているが、雪化粧すると一変する。白い雪に白い御幣が清廉潔白を感じさせる。「白」に覆われた光景は神域にふさわしく、思わず頭を垂れてしまう。

今まで各地の、いや世界中の雪を撮影してきたが、心から美しいと思うのは京都の神社である。まず朱色の鳥居や社殿が雪とよく合うこと。そして寺院と違い、早朝でも入ることができるので降り積もったばかりの雪を写せるからである。

人間は勝手なもので、寒くなると暖かい季節がいいと思い、暑くなると寒い冬をなつかしく思い出す。しかし、北欧やロシアなど北の国では一年の大半が寒く、逆に赤道に近い南の国では常夏である。ほぼ三ヶ月ごとに季節が移っていく日本で生まれ育った私たちには、一年中同じ季節という国は退屈で住めないかも知れない。

四季を人生にたとえた中国の五行説によると、人生を青春、朱夏、白秋、玄冬の四つに分け、少年を「青春」とすれば、中年は「白秋」だという。髪の毛が白くなったり抜け落ちるからこう呼ぶのではなく、実りを収穫した後を白と表現し、人生の考えが深まってくる熟年期という意味である。

ますます老齢化社会になっていく時代に熟年の十分な経験と知識を生かして「白秋」を謳歌し楽しもうではありませんか。

1月24日から27日までこの連載の作品を中心にした写真展を京都文化博物館(三条高倉上る)で開催するのでご来場賜れば幸いです。

(京都新聞 2008年1月16日掲載)