第65回  こだわり歳時記

万 緑  


ばんりょく、すなわち見渡す限り緑であることをいう。今年のゴールデンウィークは天候に恵まれ、山々の緑が眼を楽しませてくれた。

緑は最も好まれる色のようだ。祝日に「みどりの日」があり、群馬県には昨年誕生した「みどり市」がある。「みどり」という名の女性も多く、緑は元気が出る色だから好きだという友人もいる。


上の写真は市内南区にある東寺である。五月晴れの中で木々の緑が競い合うように輝き、まさに万緑である。青空とよくマッチして、撮影していても気持がいい。


緑色には浅緑・若緑・新緑・深緑のほか草色や黄緑、萌葱色や柳色など多くの種類がある。いずれにも日本人の鋭い感性と観察力、そして表現力の素晴らしさを感じる。


そもそも「みどり」とは新芽の意で、そこから色名に転じたといわれている。翠(みどり)も同意だが、青翠(せいすい)や翠雨(すいう)などには「緑」にはない趣がある。また、海水のような深い藍色を指すこともある。この場合には碧(へき)の字を用いて、碧空(へきくう)や碧水(へきすい)という。


他にも葉のイメージから転じて、「幼稚」「成長」「安全」「許可」「合格」の色としても使われる(例・青二才やグリーンゾーン、交通信号の青など)。そして「緑豊かな土地」とか「緑を守れ」と言うときには広く「自然」を意味する。


また、黒く艶のある女性の美しい髪が玉虫色に見えることから「緑の黒髪」と表現することもある。緑は実に幅広い。


そして緑色は目を休ませる色でもある。さいわい三方を山に囲まれ、自然に恵まれた京都市内ではどこでも緑を見ることができる。
大いに緑を見て心を癒しましょう。


              (京都新聞 2007年5月9日掲載)