第60回  こだわり歳時記

灯り  


ライトアップが人気である。秋の紅葉に続いて、嵯峨・嵐山で12月18日まで「花灯路」が開催されていた。いつもなら観光客が少なくなる時期にもかかわらずずいぶん賑わったそうだ。

この人気の秘密はなんだろう。まず考えられることはライトアップされたことで今まで見られなかった京都を発見できること、そしてもうひとつは、ほのかな灯りの中に癒しを感じられることではなかろうか。

決して明るくはないが、電球やロウソクの灯りは見ているだけで心が休まる。まさに「癒しの灯り」である。逆に明るい蛍光灯は機能的なビルのオフィスには適しているが、くつろぐ時には落ち着かない。欧米の家やホテルで電球を多用しているのはこの理由による。


ところがわが国では蛍光灯を用いる家庭が多い。照明は明るければ良いというものではなく、環境にふさわしい灯りにもっとこだわるべきである。寒い季節に家の中から電球の灯りがもれていると人の営みと温もりを感じるが、いくら風流な町家でも蛍光灯ではそれを感じることができない。


上の写真は下京区の島原・角屋で撮影したものである。大きな障子と灯火がかもし出す雰囲気は見事である。電球とはいえ、新撰組の隊士たちが見ていたロウソクの灯りに近いのがうれしい。
長い歴史を持つ京都では灯りにも四季がある。春には春の、夏には夏の癒しの灯りがある。今まで撮りためてきた灯りを新春の1月5日より嵐山の「あーとすぺーす」で展示する。


「花灯路」ではライトアップだけではなく、京銘竹露地行灯などいろいろな灯りを見ることができる。また、京都市立芸術大学などの学生による「光のインスタレーション」や中学・小学校の生徒による灯篭などが見られるのも楽しい。


これを機会に身近な灯りを見直してみよう。

                  (京都新聞 12月13日掲載)