第55回  こだわり歳時記

鵜  飼  


  鵜飼は夏には欠かせない風物詩である。夕暮れに鵜飼船に乗り、川面から吹いてくる涼風を受けると昼間の暑さを忘れるほど心地良い。鵜を飼いならして鮎をとらせるとはよく考えたものだ。


上の写真は京都市右京区の嵐山で撮影したものである。普通の紹介写真にならないようにフラッシュを使わず、鵜が描かれた提灯を左手前に大きく写し込んだ。船上から撮影しているので三脚は立てられない。感度を上げて、ブレに注意しながらカメラを構えればフィルムでもデジカメでも手持ちで撮影が可能だ。


嵐山と並んで宇治川の鵜飼も有名である。今シーズンに二人目の女性の鵜匠が誕生するそうだ。その人は著名な写真家のアシスタントをしていたのでよく知っている。ニュースを聞いた時、その思いっきりの良さと行動力に驚いた。決して楽な仕事ではないだろう。一人前になるまでには何年もかかるという。技を身に付けたとき、彼女は一段と飛躍するに違いない。


かっては全国の主要な河川で行われた鵜飼も今は数少なくなった。京都に住む人はいつでも行けると思うのか、乗船する人は少ない。ほとんど他府県からの観光客である。


今般、京都市より「観光大使」を委嘱された。観光京都のイメージアップに少しでも貢献したいと思っている。観光客を増やすだけでなく、京都市民に京都の良さを再認識してもらうことも大切なことだ。


東京の高層ビルから都内を眺めて感動したあなた、京都タワーから京の街を取り囲む美しい山並みを見たことがありますか?電柱が消えてからの祇園町や高台寺道(ねねの道)を歩いたことがありますか?旅費を払わなくても私たちは「世界遺産の京都」を味わうことができるのですよ。
まず鵜飼船に乗って、夏の風情を楽しみましょう。

                (京都新聞 7月19日掲載)