第43回  レンズ越しの風景

宵を写す


  いよいよ夏本番だ。日中は暑いので無理をせず涼しくなる夕方にカメラを持って出かけよう。
日が暮れると路地に水が打たれ、街中に明かりがともる。昼間にはない風情で、情感あふれる写真が写せる。プロになる前、夕刻に写した写真ばかりを雑誌に投稿していたので「暮色の北奥」と呼ばれた。


  この写真は祇園祭の宵山である。京都市民なら知らぬ者はない祭りだけにかなりの人ごみの中で撮影せねばならない。そのため最も混雑する時間帯や宵山の十六日は避けるべきである。手前の提灯にピントを合わせ、背景の提灯をぼかしてやわらかい光を演出した。


  撮影技術の話になるが画面の中心に明るい提灯などが入る場合、オートでも写るが提灯が暗くなるのでプラスの露出補正が必要である。反対に照明がない暗い夜景の場合はマイナスの補正が必要となる。
 次に、ストロボは使用しないほうが夜の雰囲気は出る。ストロボの光で明るく写ってしまい、ムードがなくなるからだ。ところが提灯の明かりだけでは暗いので三脚がない時はカメラぶれの心配が生じる。その場合はできるだけ感度の高いフィルムを使用する。

 ISO400のフィルムが良くなっているので十分使えるし、場合によってはISO800に増感してもOKだ。明るい標準レンズの50ミリ(F1.4)を併用すれば手持ちでの夜景撮影が可能となる。
  デジカメはもっとすごい。コンパクトタイプでもISO800が可能となり、ISO1600まで自動で写せる機種まで出てきた。ただ、これだけの高感度になるとメーカーによる差が出るので購入前にテストされることをお勧めする。   

  技術革新のおかげで夜景を手持ちで写せるようになった。これからもますます便利になるだろう。ただ、いくら技術が進歩しても「何を写すべきか?」までは教えてはくれない。より一層感性を磨かねばならない。

                      (京都新聞より転載)