第40回  レンズ越しの風景

黄金の花


  あいにくの雨でしたね…教室の受講生に声をかけられ「あれっ?」と思った。雨でしっとりとぬれた山吹の美しさに夢中になっていた私は雨が降っていることさえ忘れていたのである。
  プロはテーマに合った天候を選んで撮影するがアマチュアの方はそうはいかない。ある教室の実習日に雪が降った。半日降り続き、初めて雪が写せたと皆さん大喜び。こうした色々なシーンとの出会いが写真を撮る楽しみのひとつだ。その機会を多くするのがカルチャー教室である。時間ができた時に一人で気楽に…ではなかなか出かけられないものだ。

  さてこの美しい山吹の写真は松尾大社(西京区嵐山)である。4月中旬から下旬にかけておよそ3000株が咲き誇り、広い境内一面が黄金色となる。拝殿前の用水路の両側が特に見事で、近くにある水車やこの写真のつくばいなどを入れれば構図をまとめやすい。
  しかしこの花は少し風が吹くと桜のようにはらはらと散ってしまう。でも落ちた花びらがまた美しいのでその時は黄金の花じゅうたんを楽しもう。

  本殿横の社務所の裏に平安風の曲水の庭と上古風の磐座の庭、楼門横の客殿裏に鎌倉風の蓬莱の庭があり、変遷がわかって面白い。庭園のみ有料でそれ以外は無料である。他の神社もほとんどそうだが維持管理費を考えると頭が下がる。そう認識していればマナーの悪い行動は取れないはずである。三脚はここでは自由に使用できるが他の拝観者に迷惑をかけないように注意したい。

 先日、平安神宮を見学したキューバの副議長が自然を大切にする京都市民を賞賛し「京都議定書を守ることは私たちの義務だ」と語ったそうだ。7年前、地球温暖化防止の世界会議がこの山紫水明の地、京都で開かれた意義は大きい。ますます緊張する国際情勢の中で大切なのは協調である。もう一度各国の首脳がこの地に集まって、春の一日おいしいお茶でも飲みながら話しあわはったらどうどす?

                               (京都新聞より転載)