第25回  ほれ込む


世の中には撮影することよりも道具としてのカメラに興味があるという人も多いのです。ライカなどの名機やクラシックカメラばかりでなく中には個性的なカメラばかり収集している人もいます。別に収集しなくとも「変わった」カメラに興味を持つ人は多いようです。

娘に「LOMOっていうカメラ買わない?」と言われたのでなぜか聞き返すと「写したモノぜ〜んぶボケていてオモシロイらしいの」とのこと。ネットで調べたら製造国のロシアでは人気が無かったのですが日本では好調な滑り出しだとか。シャープに写る、と書いてあるのであれっ?と思い仕様を詳しく読むとピント合わせが「目測」となっています。ここがミソ。被写体との距離が目測でピッタリ合った場合はシャープですがそうでない場合はボケるわけ。

今のカメラではボケた写真は撮れないからこのカメラで撮ったボケた写真を見た人は驚くと同時に感動するのでしょう。そして古めかしいスタイルも人気の一つだと思います。

人気のあるカメラにはそのカメラからかもし出される独特の雰囲気があります。そして完成されたスタイルの良さ。私が最も愛用したのは6×6判の八ッセルブラッドでした。中判カメラでありながら両手にすっぽり入るコンパクトなボディ。丈夫で軽いスウェーデン鋼が肌になじみ、機能性をも兼ね備えた美しいデザイン。仕事の大半をこのカメラでこなしました。そして撮影に出ない日はこのカメラを机の上においてあちこちから眺め回し「ウ〜ン、いいなぁ。」とラブコールを送るほどほれ込んでいたのです。

その八ッセルブラッドもどんどんオート化され以前のスッキリしたデザインではなくなってきました。撮影にはオートが便利なのはわかっているのですがマニュアルカメラでいいからあの気品のあるスタイルは守って欲しいと思います。すっかり型遅れになりましたが最も気に入っているハッセルだけは大切に置いておこうと思っています。ここまできて初めて「カメラ趣味」の方の気持ちがわかってきました。

前回、最近の一眼レフはどれも似たスタイルで…と書きましたが実用性を重視すると大体似たカタチになるのですね。でも細かく見ると各社少しずつ違いがあり、それが特色となっているのです。「カメラ趣味」の方だけではなく「写す」ことが生きがいというあなたも自分にピッタリのカメラを見つけて下さい。カメラも自分の作品もほれ込むほどでないと良いものとはいえません(恋愛と同じ?)。

職業柄、家の中にカメラがいっぱいあるのでしょうねぇと言われますが作家は「写す」ことで精一杯。仕事で使うカメラはかなりの数を持っているのですがホビー(趣味)としてのカメラはほとんどありません。余裕が出たら「カメラ」趣味でもと思うのですがなかなか…。エッ?娘に言われたカメラですか?もちろんまだ買っていません。

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